知らざりき空広くして明らかに 土を出で君はかなかな(哉々)と鳴く
照滴028
本文
知らざりき空広くして明らかに 土を出で君はかなかな(哉々)と鳴く
形式
#短歌
カテゴリ
#5.自然・風景
ラベル
#虫 #自然現象 #夏 #声 #空
キーワード
#空広く #土を出で #かなかな #鳴く #蝉
要点
広い空を背景に、土から出て鳴く蝉の姿を描く。
現代語訳
土の中にいた時は、空が広く明るいとは知らなかっただろう。広い空の下、土から出て君(ひぐらし蝉)は(感動して)「哉々(かなかな)」と鳴いている。
注釈
空広くして明らかに:真理や悟りの世界が、広大で清浄であること。
土を出で:地中から出てくる様子。すなわち迷いや煩悩の世界から脱出して。
かなかな:ヒグラシの鳴き声
解説
自然の中の生き物の営みを描写し、無常や季節感を短歌で表現。鳴き声を通じて生命の存在感を示す。
深掘り_嵯峨
照滴027の蝉のメタファーを続けて詠んだ、「悟りの歓喜」の歌です。
「土」という閉ざされた苦悩の世界から解放され、「空広くして明らかに」という真理の世界に飛び出した「君」(蝉、あるいは悟った人)が、喜びの歌(かなかな)を盛大に鳴き上げています。
この歌は、静寂の中の悟りではなく、生命の力強い喜びを伴う成就の瞬間を描写しており、煩悩からの解放の輝きを伝えています。